大掃除のついでに窓ガラスを交換した思い出

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いつの年からかうちの家では、大掃除を冬ではなく、梅雨明けの暑い時期にやるようになった。年末は忙しいし、寒いからというのが理由だ。また、年末の代わりに梅雨明け時期に大掃除をするようになったのは、梅雨の雨で汚れた窓ガラスの掃除がしたくなるのがその時期だからだ。しかし実際には、梅雨明けに窓ガラスの掃除をしても、9月の台風シーズンでまた窓ガラスが汚れてしまうのはお約束だ。

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今年も梅雨明けを迎え、家族で大掃除をしながら、数年前の初夏のことを思いだしていた。数年前、祖父が居た最後の夏の始まりだった。祖父はその時既に寝たきりで、寝室の窓から、外の庭を眺めるのが好きだった。だから僕は、兄と一緒に祖父の部屋の窓ガラスの掃除を一生懸命した。でも窓ガラスはガラス自体が古く、掃除しただけでは取りきれない、汚れや曇りのようなものがあった。そこで僕たちは父親と相談して、ほとんど雨戸をしめっぱなしだった納戸にある窓ガラスと、祖父の部屋の窓ガラスを交換することにしたのだ。祖父の部屋と納戸にしている部屋は全く同じ造りだったため、窓ガラスの交換が実現した。まるで新品のように綺麗な窓ガラスになって、祖父はその最後の夏、今まで以上に庭の景色を楽しめたと思う。

ふっと納戸にある、昔の祖父の部屋の窓ガラスが気になった。あの日窓ガラスを交換して以来、ほとんど家人の目に留まることはなくなった窓ガラスだ。納戸の灯りをつけてその窓を見ると、雨戸が閉まっているため反射して、自分の姿がうっすら映っている。その自分の姿が、一瞬祖父のように見えたのでドキッとした。僕は特別、祖父似というわけではない。どちらかというと、母親似だ。でも一瞬自分が祖父の面影に重なったのは、その窓ガラスをずっと見ていた祖父が、久しぶりに僕たちに逢いに来てくれたのかもしれないと思えた。薄暗い納戸で怖くなるはずが、ちょっと温かい気持ちになった。